電車道

東京西部の近代史を私鉄沿線の発展をバックに描く。主人公は二人、私鉄(小田急?)の創業社長と私学(成城学園)の校長。いずれも前職をドロップアウトしたが、不思議に社会の発展の波に乗った格好。本作はがつがつした立身出世の物語では決してなく、作者独自の叙情的な世界が展開する。戦争時に飼い犬の供出をかばい家出した、社長の妾腹の娘がやがて女優となり映画監督と結婚。その息子が私学に入るなど、時代の中で世代は繰り返していく。なんとも言えない不思議な読書感。

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