著者の本業は気仙沼のカキ養殖。豊穣な海の環境を守るため、里山の植林を長年推進する。本書はそのメカニズムを踏み込んだ形で紹介。落葉中のフルボ酸に含まれる鉄が、キレート効果で植物プランクトンに取り込まれ、食物連鎖の出発点となる。河口近くの藻類が豊かなのはその証。光合成による二酸化酸素固定効果も期待大。著者の発想は直感だが、アカデミズムとも連携し、理論から実証に移りつつある。薄い文庫本ながら濃い内容の1冊。文句なしのA評価。
- 瀬戸内海、三陸沖で漁獲が豊かなのはタタラ製鉄の影響
- 作者: 畠山重篤
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/10/10
- メディア: 文庫
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