鉄で海はよみがえる

著者の本業は気仙沼のカキ養殖。豊穣な海の環境を守るため、里山の植林を長年推進する。本書はそのメカニズムを踏み込んだ形で紹介。落葉中のフルボ酸に含まれる鉄が、キレート効果で植物プランクトンに取り込まれ、食物連鎖の出発点となる。河口近くの藻類が豊かなのはその証。光合成による二酸化酸素固定効果も期待大。著者の発想は直感だが、アカデミズムとも連携し、理論から実証に移りつつある。薄い文庫本ながら濃い内容の1冊。文句なしのA評価。

  • 瀬戸内海、三陸沖で漁獲が豊かなのはタタラ製鉄の影響


鉄で海がよみがえる (文春文庫)

鉄で海がよみがえる (文春文庫)