首里の馬

不思議系の小説。内気で人付き合いの苦手なヒロインは那覇で老民俗学者を手伝う傍ら、外国人にクイズを伝えるという怪しい仕事に就く。暗号の授受ではないかと終盤に推測される。彼女の元に琉球馬が迷い込む。一旦警察に届けるものの、再度盗み出し、ガマで飼うことになる。やがて老学者の死と資料館の取り壊し。沖縄の厳しい歴史が全篇を追おうが、強く反戦が表に出されるわけではない。主題は人生の意味。忘れ去られる記録や記憶を何らかの形で次代に繋ぐことに価値を見出す。芥川賞受賞作。その評価はうなずける。

 

 

首里の馬

首里の馬