2025-10-01から1ヶ月間の記事一覧

南洋標本館

戦前、日本統治下の台湾。日本人(内地人)と台湾人(本島人)の若者が植物学を志す。戦中にかけて南洋に標本採集に出かけ大きな成果を残す。それぞれが背負う運命と恋愛、さらに両者の交わりが主題。一見美化されがちな戦前台湾だが、歴然たる差別が存在し…

我々はみな孤独である

SFサイコミステリー。依頼者から前世を探るように依頼された主人公の探偵。やがて自らも同じ舞台設定の前世を夢に見るようになる。最後は人類の意識はただ一つであるという真理にいきつく。ここに行くと戻れなくなるという深淵。ヤクザとマフィアの抗争。…

作り方を作る

天才クリエータが自らの作品図録としてまとめた1冊。東大から電通。ここで多くのCMを制作。慶応、東京芸大で教鞭をとり、多くの後進を育成。アイデアはもちろん天才的だが、それをうみだすには自ら定めたルールがある。それを惜しげもなく明かしていく本書は…

定年後の仕事図鑑

タイトルどうりの内容。公的なデータを使い、考えうるすべての職種を網羅する。説明は常識の範囲を出ないが、実際に働く人々のインタビューを挟む。リタイア後は小さな仕事とし、月10万円の収入を目指すことが目標。差し迫ってはいるがこれはと言うものは見…

7.5グラムの奇跡

眼科医療小説。主人公は新人の視能訓練士。個人眼科で検査を担当する。失敗も多いが率直な人柄で、患者との距離をつめ、病気の原因である心理的な要因をつきとめていく。周囲の脇役も個性豊かで書き分けも見事。この著者の作品には独特の世界が展開される。…

信念の経営者小原鐵五郎

伝記小説。城南信用金庫の創業者小原鐵五郎。数名の信用組合に丁稚奉公、信用金庫から連合会へと事業を拡大。中小企業への金融を役目とし、浮利は追わず、信念を全うする。そのDNAは養子に受け継がれ、一時独裁的になった後継者を革命的に駆逐する。定番の企…

強い円はどこへ行ったのか

長期的な円安傾向の原因を探る。直接のきっかけはコロナ対策に拘泥したため、回復が遅れたこと。他国がインフレ対策で金利を上げたのに追随出来ない状態が続いた。国家の発展段階としては円熟期に入り、海外への直接投資が増えて、国内産業は衰退していく。…

ルポ韓国戒厳令

尹大統領による突然の戒厳令発布から撤回。その後の弾劾裁判に至るまでの政変劇を克明に追ったルポ。日経ソウル支局の執筆。日本ではもうひとつ理解できない現地の事情が第3者の視点で記される。根本にあるのは左右両派の対立。総選挙で大敗し議会に対する…

カレーの時間

頑固な昭和老人とその孫の不思議な共同生活。老人はカレー会社の叩き上げ営業。離婚歴はあるが3人の娘を育て上げる。女性蔑視と男性の理想化は時代錯誤が強い。断片的に過去が描かれ、家族の歴史と肖像が明らかになっていく、最期を迎えるが、精神的な救い…

働かないおじさんは資本主義を生き延びる術を知っている

キャッチーなタイトルだが、しっかりとした経済論評。資本主義の歴史、成り立ちから導入。ハリボテでいろいろ問題はある中で、他の選択肢はなく当面この体制は続くものと考える。従業員、自営業者、経営者、投資家、と選択肢はある中で、どれもリスクとリタ…

ゲームチェンジ

毎年出される「世界の潮流」シリーズ。トランプ政権の発足を受けて特別版として刊行。現状への理解が乏しく、自己の利益のみを追い、行き当たりばったり政権には厳しい批判。アメリカ経済は関税のブーメラン効果により早晩立ちいかなくなると予想する。日本…

世界と渡り合うためのひとり外交術

インテリお笑い芸人の著者が、ユーモアたっぷりに世界情勢とそれに対する個人の立ち向かい方を述べた一冊。最大の課題は温暖化である。機会あるごとに草の根で意見、情報を交換していくことから始めるしかない。2017年の著書でトランプは1期目のスタート。い…

シニア右翼

最近ネット上で勢力を増す新右翼の実情をルポする。構成者は戦後生まれのシニア層。ネットリテラシーが乏しく、ユーチューブの動画を鵜呑みにする。背景には戦後民主主義の脆弱性がある。従来の右翼と異なり、皇室を崇拝することもない。この流れが若年層に…

頼る力

ダチョウ倶楽部リーダーの著書。やんわりとした外見通りの人格者のよう。癖のあるメンバーをまとめ、あまりでしゃばらず誰にでも好かれる。先輩、後輩を問わず、必要な時は教えを請い、頼る力を発揮する。ブレークの壺はパッケージの力。マンネリを恐れず、…

ラバウルの迷宮

米軍の蛙飛び作戦により、取り残されたラバウル。10万の将兵と地下要塞。管理する豪軍とは一触即発の緊張状態。この中での「忠臣蔵」の上演。その陰で叛乱を計画する強硬派。先ぶれで玉砕した部隊の謎も絡めて、ミステリーサスペンスで進展する。主人公の情…