百花

主人公は30代後半のビジネスマン。妻の出産を控えながら、母親のアルツハイマー発症を知る。目を背けてきた現実だが、病床は進み介護に追われる日々。背景にはシングルマザーとして濃厚ながら複雑な親子関係がある。一時期子供を置いて妻子ある男性と失踪した過去。このあたりが読ませどころ。幸い個人経営の暖かな施設に入所でき幸せな最期を迎える。新たな生命も生まれ世代は巡る。人は記憶を失いながらも生きていく。時機を得たテーマだが巧いとうならせる一作。