帝国の弔砲

革命前後のロシアを舞台にした長編小説。主人公は日系移民の子。両親はシベリアで厳しい開拓生活だが、一息ついたときに日露戦争が勃発。キャンプ抑留を強いられる。主人公は鉄道学校を優秀な成績で卒業するが、今度はロシア帝国軍に徴兵され、ヨーロッパ戦線へ。特殊部隊で活躍、終戦後は革命の嵐。赤軍の内部抗争に巻き込まれ投獄。家族を失う。潜伏工作員として東京に潜入。松岡外相の暗殺が冒頭シーンとなる。埋もれた題材の発掘は秀逸だが、歴史と運命の厳しさが主題。クライマックスも十分用意されている。繋ぎの部分が少し長いのが惜しまれる。