護憲派の一分

社会党党首土井たか子と評論家佐高信の共著になっているが、対談部分と「おたかさん」の自伝の部分が半分づつ。対談部分でも佐高氏は聞き役に廻り、女史の魅力と主張を引き出すことに徹している。土井さんは医者の娘、憲法学者から政治家へ転身するが、悲惨な戦争体験から反戦、護憲を貫く姿勢は一貫している。関西出身で親しみやすく人気の高い政治家であったがために、社会党委員長となるが、55年体制崩壊の荒波で、党凋落の象徴となってしまったのは皮肉である。常に信念に従い前向きな生き方には敬意を表したい。政党の垣根を越えた人物本位の交流から、三木首相、宇都宮徳馬氏に弔辞をささげているが、名演説である。


護憲派の一分(いちぶん) (角川oneテーマ21)

護憲派の一分(いちぶん) (角川oneテーマ21)