対談により仏教の成り立ちを解明しようとする。先著のキリスト教に続くシリーズだが出版元は仏教系。一神教と違い人間が悟りを開き仏陀となることを目的とする。仏教が政治と結びつかず、一定の勢力を得たのは合理性があったからとする。現代日本を考えるとき避けて通れない社会的背景である。平易な導入部は面白いが、唯識論あたりの仏教哲学の議論は正直理解できず重い。私などは仏像に関する知見があるのでまだ理解しやすいはずであるが。引用は多数。
- 仏教の定義=ゴーダマシルダッタがブッタ(覚者)であること
- キリスト教は神から人へのベクトル。仏教は人から仏(ブッタ)へのベクトル。ブッタはあくまで人間である。
- キリスト教の救済は復活により永遠に生きること。仏教は輪廻を断ち切り死にきること。
- 仏教の慈悲は距離ゼロの他者、仏性のある者に向けられる。
- 自覚覚他=菩薩は自分が悟りを求めると同時に、他者も導く。
- 仏教は中心に悟りという大きな空がある。悟りは他人に言葉で伝えることはできない。
- 作者: 橋爪大三郎,大澤真幸
- 出版社/メーカー: サンガ
- 発売日: 2013/10/28
- メディア: 新書
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