信長の女

タイトルからして英雄の女性遍歴が語られるかと思ったが、しっかりした本人の評伝仕立てになっている。名古屋在住の著者らしく尾張制圧までのエピソードに時間を割く。世に伝えられる天才的な武将のイメージでなく、じっくりとステップを踏み機が熟すのを待つ戦略家の面が強調される。最初の女性である商家の養女の中国女性は信長と似通った先見性のある人で、結ばれぬ運命を察知したのか大陸へ渡る。これは完全な創作。軽快でいながら読み応えのある秀作。

信長の女 (集英社文庫)

信長の女 (集英社文庫)