絵はがきで楽しむ歴史散歩

明治から戦前にかけての絵葉書を紹介し、世相や歴史を振り返る。建築物が多いが、戦争や震災など事件を扱ったものも多い。ある意味ひとつの有力なメディアだったのあろう。著者のコレクションから紹介。図像も鮮明でなかなか愉しい。ほかにも世界にはすごいコレクターがいるそうだ。

 

 

 

はじめから国宝なんてないのだ

日本美術への誘い。美術館のガラスケースの中ではなく、デジタル再生した制作当時のもとの姿を鑑賞する「賞道」を提唱。鑑賞にルールは無く個人の見立てが重要。知識に惑わされない姿勢。絵巻物はアニメーションの原点であると強調。各編の導入にはマンガを入れるなど初心者への配慮もあり短時間で読破。

 

-日本美術は広く言えば道具

 

 

 

 

 

栄光のバックホーム

将来を嘱望されながら、脳腫瘍で現役を引退。引退試合での「奇跡のバックホーム」で周囲を驚かせた阪神の横田慎太郎。本書はその驚きの人生を母親への取材から描いたノンフィクション。名門鹿実のエースで4番。プロ選手だった父親譲りの才能に加え、若いころから自分を律する努力家。甲子園には一歩届かず、阪神のドラフト2位。一軍定着を目前に発症。3度の入退院を繰り返すが、最後はホスピスで家族に看取らる。母親の実感は天からの預かりもの。まるでメシアのように奇跡を起こすが、母親の偉大な愛もまた感動もの。最後は涙無くして読めない。見事な人生に合掌でなく拍手を。

 

 

 

それでも普通の会社員はいちばん強い

生産性が低い批判される日本のサラリーマン。AI時代の失業、キャリアパス問題視されるが、著者はこれまでの人事コンサルの経験から、従来の人事システムは一定の効果があると評価する。新人時代から複数の職種を経験し、無形の能力資産または普通の感覚を獲得している。特にラインの課長は組織管理のプロであると賞賛。安易に転職、起業するのでなく自らの価値を十分吟味し、キャリアデザイン考慮すべきと力説。データ、他書籍の引用も多く、読みやすいが今一つロジックがしっくりこない読後感。

 

-職業選択は自由、恐怖、欲望のプロット

-安定と従属(会社)か変動と独立(個人)

-日本人には地味に頑張れる能力がある

 

 

 

絶対に行けない世界の非公開区域99

タイトル通り一般人の立ち入りが禁止されている施設や地域を写真入りで紹介する。予想通り軍事、諜報機関がほとんどであり、特に核兵器に関係する施設も多い。日本では伊勢神宮の神域のみが掲載。説明文がやや長く、じっくり読んだので想定より時間を要した。

 

 

 

地球行商人

味の素の営業部隊。アジアやアフリカでのどぶ板営業を描く。有名大学出身のエリートが徹底した現地化。小袋での販売で拡販に貢献する。文化の違いや社員の不正、自殺。時には強盗や革命など生命の危険にも遭遇する。評価関数は売り上げでは無く、インボイスの枚数。地道な信頼関係の構築がやがて実を結ぶ。500頁弱の大作。小説仕立てで読みやすいが、ややバラエティに欠けるか。

 

 

 

半導体ビジネスの覇者

TSMCの創業からファウンダリーとしての成功、今後の課題を描くビジネスルポ。最初は欧米から技術を導入し、天、地、人の利を活かして発展。創業者モリスの存在が大きい。TIに長く勤め、政府の要請で起業する。当初はフィリップスが出資。成長した時点で売却。競争力の源泉は高い歩留まり。これはPC生産等で蓄積した工場の現場力。利益を巨大投資に廻し、研究開発も怠らない。圧倒的で優秀な技術者の集団。著者は台湾紙の記者。基本はTSMC礼賛だが台湾側の視点は新鮮。引用多数。

 

-今後はEVとスマートロボ需要

-CEOは企業と外界とつなぐ重要なパイプ

-制度は米国式だがリーダーシップは台湾式(管理ではなくリーダーシップ)

-両手戦略(技術力とコスト競争力)

-営業にはビックデータとAIをすでに活用

 

中国との関係

-護国神山 TSMCの存在が台湾の防衛を国際社会に訴える

-同文同種 使用する文字も人種も同じ

 

将来の課題

-水と電気

-世代交代