兵士に告ぐ

一般にはあまり知られていないが、九州長崎にナンバーを持たない連隊がある。西部方面普通科連隊。緊張を増す西南諸島の防衛にあたるレンジャーに匹敵する精鋭部隊。自衛隊の現場に密着する「兵士」シリーズの最新作4作目。はソ連崩壊後、大きく変貌する自衛隊の現状に迫るノンフィクションである。シリーズ当初にレンジャー訓練を受けていた幹部候補生が15年後、中隊長として現場を指揮する立場となった。文字通り兵士と寝食を共にし、彼らの生命を預かる濃厚な2年間。将官に昇進した後も、この頃に戻りたいという。雑誌の連載だけに一直線でなくトピックはややふらつくが、一級のルポであることに変わりはない。どうしても取材対象が近すぎるため、ややもすれば自衛隊賛美に読み取られる面はあるだろう。

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