勁草の人

興銀の頭取にして、戦後の復興を支えた伝説のバンカー中山素平を描いた経済小説。一時代前の人というイメージだが、相談役や顧問として金融政策の舵を取る。近いところではNTTの民営化やディズニーランド。さらにはみずほ銀行への合併劇にも顔を出す。田中角栄とは盟友。政財界にめぐらしたネットワークはパワフル。作者自身が敏腕記者として語り部役で登場する。銀行内の人事相克模様はどこも同じ。人材に恵まれる興銀ではさらに深いものがある。作品としては網羅的なあまりやや焦点がぼけた感は否めない。

勁草の人 戦後日本を築いた財界人

勁草の人 戦後日本を築いた財界人