家康の子

徳川家康の次男。結城秀康を主人公とした時代小説。豊臣秀吉に人質として預けられ、両雄の一字ずつをその名に持つが、歴史上はあまり知られていない。本作はその生き様にスポットをあて、父に見捨てられた悲しみと、両家の絆として奔走する姿を主題に描く。人質に出された時点では供の少年達と死を覚悟して臨む。成長しては実父の資質を受け継ぎ、忍耐強く剛胆な名君となる。史実には基本的に忠実であるが、むしろ有名な周囲の人物には新たな視点と解釈を持ち込む。なかなかの秀作。人物描写は著者の力。

家康の子 (中公文庫)

家康の子 (中公文庫)