空飛ぶタイヤ

明らかに三菱自動車のリコール問題を題材にしたフィクション。トラックのハブ不具合により起こった死亡事故により、経営の危機を迎えた中小運送会社社長の懸命の戦い。自動車メーカー、銀行とも大企業の論理をたてに弱者には非情である。取引先も保身のために次々と逆風とかす。家族と社員への想いが彼を支える。いつのまにか社長を応援している読者である自分がいる。真実を求める流れはエリートの権化のような担当課長の内部告発により急展開を迎える。多層的同時並行で物語は進行し一気に読ませる秀作。個人的にはPTAのエピソードは不要ではないかと思う。家族を守る父親像と世評のバロメータという位置づけは理解できるが。

空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)

空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)

空飛ぶタイヤ(下) (講談社文庫)

空飛ぶタイヤ(下) (講談社文庫)