名著「失敗の本質」の続編にあたる。過去の戦史から大逆転劇と呼ばれる転回点となった6例をあげ、勝敗を分けた両者の戦略を分析しその要因を明らかにする。戦略は大戦略/軍事戦略/作戦戦略/戦術/技術の重層構造であり、それぞれが連動すると同時に、相手側とクロスリンクするため、異なる階層から逆転する可能性がある。また階層で大勝利した場合、その結果が戦略をゆがめることもありうる。豊富な実例と専門的な解析により興味深い研究書となっているが、前作の衝撃には及ばない。日本軍が登場しないためか。印象的なのは第4次中東戦争におけるサダトの限定戦略。スターリングラードでのソ連側の耐久戦略。
終章の戦略の命題
- 戦略は「弁証法」である
- 戦略は真の「目的」の明確化である
- 戦略は時間、空間、パワーの「場」の創造である
- 戦略は「人」である
- 戦略は「信頼」である
- 戦略は「言葉(レトリック)」である
- 戦略は「本質洞察」である
- 戦略は「社会的に」創造される
- 戦略は「義(justice)」である
- 戦略は「賢慮」である。
- 作者: 野中郁次郎,戸部良一,鎌田伸一,寺本義也,杉之尾宜生,村井友秀
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2005/08/06
- メディア: 単行本
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