意外と日本人からは落ちている視点。韓国内では金正日は高評価で迎えられるとショッキングな記述で始まる。冷静に考えれば南北は同じ民族であるので、メンタリィティーは近いはずであり、反日で結束することはあり得る。著者はその精神性を形作ったのは500年に及び李朝の儒教を柱とする専制政治であったとする。中盤の記述はやや退屈だが、全体的には論旨は明快であり、日頃知り得ない韓国の内情と本音を垣間見た思いもある。
- 作者: 呉善花
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2003/09/17
- メディア: 新書
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以下抜粋。
- 韓国人の半数は北朝鮮が核兵器を持っても良いと考えている。同一民族に核を使用することはあり得ないと考えている。さらに北との統一を果たせば、核保有国である強国が誕生する。
- 李氏朝鮮は中国に事大(朝貢)していたが、清王朝になったことによって夷族である満州族が上位に立つことになり、論理に矛盾を生じた。このため「大中華」なき世界で唯一の正当な中華思想の後継者たらんとした。P76
- 儒教には死後の世界はなく、徹底した現世主義である。現世で最高の徳を得るように努力することが人間としてあるべき姿である。早死には不孝であり、自殺は同情を受けることはない。p169
- 韓国人、朝鮮人の美的感覚は若さ、強さ、豊かさなど最盛期の理想的な美へのほぼ一極集中(一元性)を示す。多元性志向の日本人と異なる。
- 韓国は一人あたりの年間平均読書量が正解最低。ハングルにより漢字が駆逐されたことにより抽象概念語の理解力が落ちておる。
- 両国は専制主義国家である李朝を出発点とする。ハードモデルが北朝鮮となり、ソフトモデルが韓国となった。
- 北朝鮮の崩壊は時間の問題、開放経済と軍縮の促進によって最悪の状態から抜け出すことが必要。日韓の外交努力が求められる。例えば北朝鮮の軍備を購入し破棄するのも一案。