虎とバット

著者はアメリカの社会学者。阪神タイガースをフィールドワークの対象にした1冊。球団とそれを取り巻く世界をスポーツワールドと位置付け、詳細な解析を行う。得られた結論は日本社会の縮図であるソープオペラと関西の東京に対する対抗心が人気の源泉。いわれてみれば当たり前ではあるが、応援団の闇の部分に言及するなど切り口は鋭い。経営の統合、IT化など時代は変わりつつあるとの指摘。マニアックな好著。

 

虎とバット 阪神タイガースの社会人類学

虎とバット 阪神タイガースの社会人類学

 

 

 

 

 

のび太の月面探検記

最新映画の原作本。辻村氏が脚本を担当したとのことで手に取った。月を舞台にする少年たちの友情物語。映画を先に観ていたのでストーリーは完全に把握していたので、驚きは少ない。もちろん愉しめるレベルの作品。

 

 

 

負けるな届け

アラフィフでリストラにあった主人公。知人の応援に駆り出された東京マラソン。全力で応援する姿に触発され、自らもフルマラソンに挑むことに。舞台はボルドー。ワインとグルメを楽しみながら、制限オーバーながら完走。館山では友人やなんと敵役まで応援することに。マラソンはまさに人生の縮図。本作は狙い通り諦めない人への応援歌となっている。予想以上の出来。予定調和だが感動しました。

 

 

負けるな、届け! (双葉文庫)

負けるな、届け! (双葉文庫)

 

 

三度目の日本

著者の遺作。日本の3度の危機。幕末、敗戦、平成。抜け出すには価値観の変化を伴う革命が必要。天下泰平の江戸時代から、殖産興業、富国強兵の戦前へ。平和主義、経済成長の戦後期は完全に行き詰まり、価値観の大転換が望まれる。唱えるのは楽しい国家。第四次産業革命、具体的には万博に期待。長期ビジョンのない官僚主義とそれに結託するマスコミが阻害要因。多数の著書を通して勉強させてもらいました。感謝、合掌。

 

 

 

フランス人がときめいた日本の美術館

フランス人女性による日本の美術館ガイド、東京、京都に加えて地方も紹介。ジャンルも幅広く網羅。古典から現代美術まで審美眼は確かなものがある。感性は日本人に近いがやはり現代的。本来の目的であるガイドとして手元に置きたい一冊。

-朝倉家住宅

-河合寛次郎記念館

-重森三玲庭園美術館

-楽美術館

-直島

 

 

 

フランス人がときめいた日本の美術館

フランス人がときめいた日本の美術館

 

 

自衛隊の闇組織

自衛隊に存在する諜報機関。大臣、内閣には報告せず、シビリアンコントロール上大きな問題である。旧中野学校の系統を引く。著者は共同通信の記者として長年の取材でスクープをものにする。他社は追随せず、また機密保護法の成立後となったので敗北感が大きい。米軍の陰がちらつく。新書だが重い内容。

 

 

 

 

 

肖像彫刻家

主人公は売れない彫刻家。イタリアで磨いた腕は確かだが、芸術の域には届かず、親の遺産とバイトで食いつなぐ日々。とあるころから彼の作るブロンズ像にはモデルの魂が宿り、不思議な現象を引き起こす。作者の得意なモチーフではあるが、本作はコミカル仕立て。その中で家族やご近所との関係を際立たせるところは流石。愉しく読ませて頂いた。

 

肖像彫刻家

肖像彫刻家