大仏師運慶

運慶の美術史的価値を再評価する一冊。鎌倉時代の仏像は工房の作品であり、一般のイメージと異なり、プロデユーサーとしてとらえる。朝廷と幕府の二十構造の中で、両方から受注を受け、慶派を率い発展させたところも高評価。美術としては現代西洋美術の価値観とマッチしており、過大評価ではないかとする。写実については定義から紐解く。入門書だが文献調査から入るしっかりした人文科学の手法。半分ぐらいが新しい視点。運慶と作品を知らない人には厳しい内容。