社会学者2人が対談形式で、キリスト教の謎に迫る。現代西洋文明の根底にあるのはやはりキリスト教の世界観であるというのが基本認識。最大の謎であるキリストについては実在したとするが、神の子であることについては疑問形。異能の人間であったが、伝説を身に纏うとうことでロシアのマトリョーシカのように大きな存在になっていったとする。他もわかりやすい比喩が多数用いられ、認識を新たにした。大づかみするには最適。好著である。
- キリスト教。ユダヤ教、イスラム教はいずれも一神教であり最高神は同一。
- イスラム教は勝ち組、ユダヤ教は負け組。領地を失っても法が途絶えぬように律法が発達した。
- 偶像崇拝がいけないのは偶像をつくったのが人間だから。神との関係に介在してはいけない。
- 民族や部族を越えて普遍的な価値を持つのが世界宗教。仏教、儒教も含まれる。
- イエスの奇蹟は人間サイズのささやかなもの。
- キリスト教は2階建て。旧約(ユダヤ律法)の上に新約(愛)が乗る。
- キリスト教を体系化したのはパウロ。キリストとは会っていない。
- 西ヨーロッパ(カトリック圏)では政治権力と宗教的権威が分離、二元化した。
- 神の存在について、理性で行けるところまで行き、あとは信仰で継ぎ足す。2段ロケット。
- プロテスタントは神-聖書-人間の関係。教会すら不要。
- 聖書は曖昧で、神が創った世界を探求する自然科学は信仰と矛盾しない。
- 作者: 橋爪大三郎,大澤真幸
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/09/28
- メディア: Kindle版
- 購入: 1人
- この商品を含むブログを見る