法制の王国

戦後裁判史の内情を描く大作。同期修了生の3人を軸に物語が転換する。一人はエリート、一人は護憲派で左翼的な活動が影響し、支部を転々とする。もう一人は苦学の末、原発反対の弁護士に。人事を壟断する管理派とそれにおもねる中間管理層は普通の会社と変わらない。裁判官の業務は激務で処理件数が評価の対象となるなど知られざる内情を克明に描く。原発裁判がひとつのエポック。結構左寄りの思想で、産経新聞連載とは思えない。読み応えのある作品。時間は費やしたが読んでおくべき一作。

法服の王国――小説裁判官(上) (岩波現代文庫)

法服の王国――小説裁判官(上) (岩波現代文庫)

法服の王国――小説裁判官(下) (岩波現代文庫)

法服の王国――小説裁判官(下) (岩波現代文庫)