直近の経済問題を経済学の視点から解説する。Q&Aの形式をとるが、具体的な数字や、図表をふんだんに使い、平易な内容となっている。それぞれの問題につき明確な提言を出しているところは好感が持てる。巻末に索引も掲載され、手元の参考書としても使える。以下引用多数。
- 作者: 野口悠紀雄
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2007/10/26
- メディア: 単行本
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- 日本経済の主要数字
GDP 500兆円
国税収入 50兆円(10%)
国際発行額 30兆円
消費税は税収の1/5 10兆円
消費総額 200兆円 (消費税5%)
社会保障費 20兆円
- 地価の上昇は、賃貸料の上昇による。景気が拡大するから地価が上昇するのであって逆ではない。株価もメカニズムは同じ。
- イスラム圏では宗教上の理由から利息を禁止してきたため、十分な資本蓄積ができず経済発展が遅れた。(価格制限は望ましくない結果をもたらす査証)
- 日本の経常収支をみた場合、すでに所得収支が貿易収支を上回っている。「発展段階説」によると貿易大国から債権大国(投資大国)へと成熟しつつあることを示すが、所得収支の内訳をみるとアメリカ国債の利子収入が大半を占める。分散投資が必要。直接投資収益 約2兆円 証券投資収益 9兆円 貿易収支は約10兆円
- イギリスは15年連続で経済成長を達成。一人あたりのGDPは日本を上回る。それにつれポンドの価値も上昇。国際決済通貨としては円を抜き、ドル、ユーロに次ぎ3位。
- 国債の発行は、国内で消化(日銀を除く)される限り、国全体として使える資源量に影響を与えない。家計の借金とは本質が異なる。問題はその使途。民間が直接投資するような効率が必要。