これから10年、新黄金時代の日本

評論集。日本はバブル崩壊後の長い不況を抜け、第2の黄金期に入ったとする。成長を続ける巨大市場である中国を後背地に備えているという地政学上のメリットを享受できる。解決すべき社会問題も複数正確に指摘されているが、知日家である作者は将来に関して楽観的である。後半アメリカ、EUにテーマを移し、3曲体制を俯瞰すする。世界情勢にテーマが移ってからこちらの理解が追いつかない部分もあり前半に比べると、はやや観念的なでもうひとつ響かない感じ。

  • 着実に進む日本のカメは、猛進する中国ウサギの先にいる。得意分野のハイテク後術を武器とすべし。
  • イギリスの回復と日本の没落の差は柔軟性、順応性の有無に起因する。既得権益の打破が可能か。
  • イラクへの自衛隊派遣は日本が「当たり前の役割を果たす」シンボルと海外では受け止められている。
  • 原爆の倫理性を問うとき、2発目の長崎への投下に注視すべき。必然性は無かったはず。
  • EUの最大の効能は、参加国が紛争や見解の相違について何らかの妥協案を見つけざるを得なくなったこと。
  • ローマ法王は師団をいくつ持っているか」スターリンの問い。法王は倫理的権威しか有さない。

これから10年、新黄金時代の日本 (PHP新書)

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