日本のマラソン史を黎明期の金栗四三から高橋尚子まで時代を追って網羅するノンフィクション。ランナー本人へのインタビューにより主要部は構成される。華やかなレースだけににスポットをあてるのではなく、性格や人生観などその内面に迫る。一人あたりに紙面は制限があるが、時代によりアスリートを取り巻く環境と競技に対する考え方の変遷がよく理解できる。個人的には瀬古以降はマラソンがメジャースポーツになったこともあり、こちらの記憶と良く一致する。
- 「苦行僧」のイメージのある瀬古だが、性格は明るくユーモアに富む。
- 瀬古と中村コーチは親子のような関係。技術的より精神面の指導が主。マラソンのコーチは選手の「伴走者」であることが第一に求められる。
- 森下はバルセロナで銀を獲得後、故障のためレースで走っていない。
- 有森裕子はバルセロナの後、燃え尽き症候群となり、走る意味を見いだせずに苦しんだ。
- 高橋尚子は都道県対抗駅伝の区間で45位。ビリから3番目だった。走ることが好きで練習の虫。天性の心肺機能でその後めきめき伸びた。
- 作者: 後藤正治
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2003/12/16
- メディア: 新書
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