雑誌SAPIOの連載。日本企業の先端技術を平易に紹介する。2003年度の出版でやや古いかと心配したが、一部を除いて大きな影響はなく未だに新鮮。日本経済が落ち込んでいた時代にあって世界に誇る独自技術により自信を取りさせようとする。対象は有名企業から零細企業までさまざま。海洋国家である日本に注目し1章を割く。文系著者の解説は技術屋の端くれである私にはちょうどいいレベル。
- 作者: 溝口敦
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2003/03
- メディア: 単行本
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以下引用。
- カードに化学繊維の層を織り込む。繊維中にランダムに磁性体が埋め込まれており、その配向が一枚ずつ異なるので、これを磁気データに記憶させることで個体を特定することが出来る。出発点はコンピューター部品とネジの品質管理ための画像処理技術(ニッパツ)
- 電子ペーパーである「Eインク」はマイクロカプセル中に黒(カーボンブラック)と白(酸化チタン)の粒子を詰め込み、電位により表面に集めることで白黒を表示させる。カラーにする場合は3原色のフィルターを使う。同社はフィルターシェアではトップ。(凸版印刷)
- 超精密研削盤には如何にテーブル(摺動面)の平面を出すかがキー。2枚の金属面を「キサゲ」により2−3μmの山谷をつけ、その間に潤滑油を入れることにより、テーブルを摺動させる。山の頂点の平滑性を確保する。3枚の組み合わせで確認することで、2枚の精度を確保する。(長島精工)
- 自動車には総計50ヶのモータが使用される。年間18億個の生産。全製品の平均単価は100円以下(マブチモーター)