東北アジアナショナリズム問答

雑誌「アリエス」創刊時の対談と往復書簡。日本、韓国、中国で激変する情勢を鋭く分析する。各国でおこりつつあるナショナリズムの衝突に警鐘を鳴らず。作者は戦後の民主主義への虚妄になぞらえ、東北アジア共同体に夢を託す。論評にとどまらず具体で行動への意欲を感じる。

以下気になる記述をひろう。

  1. 韓国では「3.6.8世代」が社会の軸になりつつある。30代、60年代生まれ、80年代に学生だった世代。私はぎりぎり。
  2. 韓国はベトナム戦争に31万の兵力を送り込んだ。戦場での軍の行為については明らかになっていない部分が多い。含みのある記述有り。
  3. ポーランドは一般に大戦の被害国とのイメージが強いが、村人がユダヤ人を迫害した事実もある。このため国家記憶院(IPN)を創設し、公的記録を残そうとしている。
  4. 日本はすでに敗戦までの経緯でナショナリズムの処女性を失っている。今まさに勃興している韓国、中国とは大きな差がある。
  5. 「奇跡は奇跡的に訪れはしない。韓国の民主化は韓国国民の血と汗によって実現した奇跡である」金大中大統領、日本国会での演説。

姜尚中にきいてみた!―東北アジア・ナショナリズム問答 (講談社文庫)

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