韓国語でオモニと読む。作者の母の伝記である。16歳で結婚のため単身日本へ渡り、戦中戦後を九州熊本で生き抜く。文盲ながら商才にたける一方同胞には温かい支援を惜しまない。世俗的には幸福と言い難いが、その一生はまさに動乱期の韓国の歴史を象徴する。死語に息子にあてた録音テープが見つかり、それを聴く作者の心情はいかばかりか。新しい時代の日韓関係に期待せずにはいられない。

母――オモニ――

母――オモニ――