鞍馬天狗のおじさんは

戦前の大スター嵐寛寿郎の想い出語りを、ルポライター竹中氏がまとめた大作。時代劇、チャンバラ映画の全盛期。興業的には成功であるが、芸術的には一段低く見られ評価されてこなかった。各スターが独自のプロダクションを設立するも、映画業界の資本の論理もあり、離散集合を繰り返す。アラカンは良い映画を撮れれば満足で、金には無頓着。女には甘い。それでいて部下の面倒見は良い。戦後は脇役となり明治天皇役も演じる。アラカンの独白部分は面白いが、映画界の内紛話は正直退屈。読破には時間を要した。書評では絶賛されているが、評価は微妙。