それからの帝国

著者のモスクワ留学時代の親友であるロジア人エリートの数奇な運命をたどるノンフィクション。学生時代は反体制運動に参加、ラトビアに逃れ独立運動をサポートするが、反政府主義者として、国外追放となる。現在はプーチンのブレーンとしてウクライナ侵攻を推進する立場に。極めて頭脳明晰、記憶力抜群だが、かの国のエリート層にはありがちなことだが、大きく立ち位置が振れる。一方著者は鈴木宗男事件に巻き込まれて、長期間の拘置所生活を経験する。外交官の矜持は今も失わず、後世に伝えるすべを模索する。本書は受賞作の続編にあたる。読み応え十分。セリフが多い文体はフィクションに近い。