東條英樹

新たな視点で戦時宰相の実像に迫る。戦陣訓に代表されるように精神主義者のイメージが強いが、これは戦後のイメージで、実際は有能な実務家の面が強い。ただし陸軍の権益確保と人事抗争に強面を発揮した。庶民派を演出し、インテリ層の受けは悪いが、一般大衆からは一定の指示を得る。航空に力をいれるが、結局は国力の差から特攻に頼ることに。本書は丹念な文献引用からの一冊。知らない部分は30%程度か。学術書に近く重めの読後感。