紙つなげ

大震災の津波で壊滅的な被害を受けた日本製紙石巻工場。従業員に被害者が出なかったのは日頃の訓練の賜。工場長は半年での運転再開を宣言するが、当初は誰もが無理無謀と思った。不可能を可能にしたのはトップの揺るぎない意志と見事に作業のタスキを繋いだ現場力。我が儘な姫と呼ばれる8号機が奇跡的に一発で再稼働した場面は、製造業に携わる人間として涙無く読めない。明るい話ばかりでなく、多数の死者を助けられなかった悔恨や一部で目撃された略奪など震災直後の実態も余すことなく記録する。一級のノンフィクション。文句なしのA評価。