国家の罠

副題通り、日本のラスプーチンと呼ばれた外務省の情報専門家の暴露本。鈴木宗男を排除するためのスケープゴートにされ国策捜査の被疑者となる。逮捕から一審の判決まで担当検察官との真剣勝負が赤裸々に語られる。もちろん自己弁護の部分もあるだろうが、自己の栄達よりも国益のため情報ソースを守ろうとする。保身のため虚偽の証言をする官僚や研究者には手厳しい。外務省と検察庁のそれぞれの内情も暴露される。いずれの組織も同じだが人間関係は難しい。実感。

  • 外務省内では学閥はなく、語学研修別に「スクール」が形成される。「アメリカスクール」「ロシアスクール」など。人事についてもスクールが力を持つ。冷戦の終結により相対的に親米派が他を圧倒している。
  • 日本は北方領土をロシア領と認めておらず、ここに援助として恒久設備を建設することは出来ない。このためプレハブの「友好の家」、発電所でなくディーゼル発電設備を設置した。
  • 検察の国策捜査は時代転換の要請という面が強い。見逃されるレベルの微罪を掘り出し政界から旧勢力を駆逐する。

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて