メトロに乗って

作者初期の秀作。立志伝中の経営者でありながら、家庭内では暴君である父親に反発し、実家を飛び出した主人公が、タイムスリップにより過去の重要なターニングポイントに降り立つことにより、父親の孤独な生い立ち、また人間味にふれ理解を深めていく。東京の地下鉄ネットワークが時代を映す道具として巧みに使われている。主人公を慕いながら自分の立場と罪深さを知り、思いもかけない形で身を引くヒロインが哀れ。得意のヒューマニズムファンタジー

地下鉄に乗って (講談社文庫)

地下鉄に乗って (講談社文庫)