作者初期の秀作。立志伝中の経営者でありながら、家庭内では暴君である父親に反発し、実家を飛び出した主人公が、タイムスリップにより過去の重要なターニングポイントに降り立つことにより、父親の孤独な生い立ち、また人間味にふれ理解を深めていく。東京の地下鉄ネットワークが時代を映す道具として巧みに使われている。主人公を慕いながら自分の立場と罪深さを知り、思いもかけない形で身を引くヒロインが哀れ。得意のヒューマニズムファンタジー。
- 作者: 浅田次郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1999/12/01
- メディア: 文庫
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