女はなぜ土俵にあがれないか

一時大いに盛り上がった太田知事と相撲協会の土俵上男女平等論争。横綱審議委員である著者は、無理矢理の平等論に反論を試みる。原本は宗教学の修士論文であるため引用文献も多く、やや読みにくいが、土俵を「結界」ととらえ、神が鎮座するとされる間は女性はもとより、卑しい人格の男性も上るべきでないとする論旨は明確。相撲協会の価値はその伝統堅持の姿勢より、移り変わる歴史の中で、興業を権威付けてきた巧みな経営戦略にあるとする。土俵作りに四日間立ち会ったことにフィールドワークには迫力と説得力有り。