父・宮脇俊三への旅

鉄道紀行文学の第一人者である故宮脇氏の知られざる一面を、長女である著者が肉親の愛情を込めて描く。氏の「時刻表2万キロ]で鉄道に魅せられた人は多いはず。私も学生時代に読んだ以来、一貫して氏のファンであった。その淡々とした文体より、常に冷静で沈着である姿を想像していたが、今回の言わば私伝により、創作の苦しみ、日常化した旅と家族との関係が明らかにされた。特に晩年はアルコール依存症であり、「休筆」であったことなど、家族としては書きづらかったのではないかと思う。
また厳しい編集者として長女の著作にあたられる一方、就職活動では全面的にバックアップされるなど、市井の親と変わらない一面ものぞかれせる。なかなかの秀作で一気に読破。鉄道ファンに限らずおすすめの1冊です。

父・宮脇俊三への旅

父・宮脇俊三への旅