天路の旅人

大戦末期の中国大陸。密偵としてモンゴル、チベットに赴いた若者。ラマ僧に扮し、現地に溶け込みながら長い旅路の末にチベットにたどり着く。終戦後もインドやネパールと修行の旅を続ける。社会の最下層に身をやつしながら、語学力と真面目な働きぶりはどこにいても周囲の信頼を勝ち得る。多くの人と出会い、そして別れる旅の日常。後半は托鉢をしながら本物の修行僧のようになる。帰国後は体験を長大な著作にするが、自身は平凡な一市民として暮らす。本書はその著作をもとにしたノンフィクション。だいぶ圧縮されているがそれでも長大な物語。自らの旅に重ねる著者の想いを感じる。