星落ちてなお

異彩の絵師、河鍋暁斎の娘である河鍋暁翠が主人公。5歳から父の英才教育を受けるが、画鬼と称される父親を乗り越えることが出来ず苦しむ。明治から大正、大きく変わる時代と画壇を背景に、同じく画家である兄やパトロンその周囲を取り巻く人間関係も丹念に描く。主題は芸術と人間生活の葛藤。ラストに自らを納得させる光明が用意される。読み応えのある秀作。