無私の日本人

江戸時代の市井に生きた尊敬すべき人物3名を取り上げる。一般には無名だがそれぞれ偉業を成し遂げた。後書きにあるように「ほんの少しでも濁ったものを清らかに変える浄化の力をもった人」がテーマ。3話ともそれだけで充分長編となりうる題材。著者は歴史学者。丹念に一次資料を拾ったようだ。文章も巧みで一気に読破。秀作である。

  • 穀田十三郎:宿場を守るための基金を創設。仙台藩に貸し付けるシステムを考案し達成。
  • 中根東里 :日本一の儒者、詩文家。
  • 大田垣蓮月:不幸な尼僧。歌人。西郷へ和歌を送り江戸決戦を回避。

いずれも栄華を求めず、周囲に施す。

無私の日本人 (文春文庫)

無私の日本人 (文春文庫)