満つる月の如し

平安期の仏師定朝。物語中では天才仏師として描かれる。若き日の天才はただし信仰心は薄く既存仏教と庶民のギャップに疑問を抱く。に彼の作品に魅了された比叡山の高僧である隆範がもう一人の主人公で、最後は定朝の作品を世に出すために自ら罪をかぶる。時代背景である藤原道長と朝廷、平安貴族の権力争いはやや退屈で読みづらい。信仰と芸術の葛藤にもう少し焦点をあてて欲しかった。定朝様の阿弥陀仏はあまり評価していないが一度見直してみるか。

満つる月の如し 仏師・定朝

満つる月の如し 仏師・定朝