エッセイ集。分子生物学者の著者が、最新の生物学のトピックを平易に解説する。生物のみならず、自然、環境を含むすべての現象を解くキーワードとして、「動的平衡」をキーワードとする。この分野門外漢である私には知的な刺激にあふれた1冊で週末に一気に読破。科学者でありながら決して専門に走らず文章も巧み。好著。しばらく読み込むか。
- 消化管は生物学的に言えば体外
- 人間は一日50gのたんぱく質を摂取するがほぼ同量の消化酵素を消費している。
- 自然界においてインプト/オウトプットはS字カーブであるのが一般的。人間はこれを比例関係にあると錯覚する。
- 人類の歴史の大半は飢餓の歴史。このため血糖値が高まるとこれを細胞内に取り込む指令がインシュリンによって発せられる。
- 生物において全体は部分(部品)の総和ではない。プラスα=エネルギーと情報の出入り(時間軸)が必要。
- 種の壁は生殖の可否で判断される。レオポンは親が亜種同志であり可能だった。
- 細菌は種の壁を越えられないが、ウイルスは可能。
- ミトコンドリアは細胞核と別にDNAを持ち、独自に増殖する。過去に細胞内に取り込まれたが、現在は共生している。
- 生命とは動的な平衡状態にあるシステムである。我々の身体は新陳代謝により分子的な実態で見れば数カ月でまったく別物に入れ替わっている。
- 生命は「動的平衡」によって「エントロピー増大の法則」と折り合いをつけていく。それが追いつかなくなった時が個体の死である。
- 作者: 福岡伸一
- 出版社/メーカー: 木楽舎
- 発売日: 2009/02/17
- メディア: 単行本
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