日本を降りる若者たち

カオサンを中心に巣くうバンコクの日本人たちの近況をレポートする。旅行者ではなくかっての「バンコク沈没」が、「外こもり」に変化しつつある。日本で短期間稼ぎ、その資金でタイで生活する。他界との接触をさけアパートにこもる若者たち。個人へのインタビューを軸にそれぞれの事情をルポする。オーストラリアへの短期語学留学生が帰路に立ち寄りそのまま居ついてしまうケースもある。日本での格差社会と誰にも寛容なタイ社会が産み出した不思議な宙ぶらりんの構造。久しぶりに著者の作品を手にした、かっての旅の達人が社会批評家となっているが、若者たちに向ける視線は、理解しつつも厳しいものになっている。

• 優秀な語学留学生ほど帰ってこない。
• 日本で仕事が上手くいかない人は海外で就職しても結局辞めてしまう。

日本を降りる若者たち (講談社現代新書)