天璋院と和宮

幕末の徳川将軍家に薩摩と皇室から嫁いだ女性二人。下世話に言えば嫁姑の関係になる。いずれも聡明で優しい女性であるが、政略結婚の思惑と取り巻く忠義の女中たちにより関係はしっくりこない。最後の局面で二人の尽力により徳川家は取りつぶしから救われたとする。20歳前の家茂と和宮の純愛にはほろりとさせられる。幕末に強い作者ならではの文庫書き下ろし。女性同士の暗闘で敬遠しがちなテーマだが簡潔にテンポ良く読ませる。

天璋院(てんしょういん)と和宮(かずのみや) (PHP文庫)

天璋院(てんしょういん)と和宮(かずのみや) (PHP文庫)