朱夏

評判の警察小説。強行犯の係長の妻が誘拐される。必死で捜索する刑事と個人的にサポートする同僚。夫婦それぞれの状況からの描写で解決までを一気に描き切り読ませる。犯人は警察内部に存在し、途中から暗示され捜査側との心理戦となる。日頃お互いに干渉せず、表面上は干渉しない夫婦であるが、妻は夫を信頼し、夫は大切な伴侶を救出するため駆けずり回る。朱夏は青春の次の季節で彼らの世代に贈られる。犯人の異常さはゆがんだ一人っ子家庭教育の産物と警鐘を鳴らす。エンタメ性は十分、楽しめた。

朱夏―警視庁強行犯係・樋口顕 (新潮文庫)

朱夏―警視庁強行犯係・樋口顕 (新潮文庫)