銀の雨

「堪忍旦那」と異名をとる人情家同心の捕物帖。若く正義感あふれる新入りの同僚に辟易しながら、自らの信じる沙汰をそれぞれの事件につけていく。一人娘が青臭い若手同心に恋心を抱くという父親には厳しい設定。この二人の関係を副題にして連作の形でストーリーが語られる。家族、男女の機微をとらえながら、一篇ごとに読者はほろりとさせられる。ラストの展開は予想を超えて急である。登場人物の類型化が見事で引き込まれるなかなかの秀作。Aに近いB評価。


銀の雨―堪忍旦那為後勘八郎 (幻冬舎文庫)

銀の雨―堪忍旦那為後勘八郎 (幻冬舎文庫)