ワイルドソウル

戦後南米への移民政策はまさに棄民であった。未開の土地へ放り出された1世たちは、まさに野蛮人なみの生活を強いられ、次々命を落としていく。数奇な運命の上でなんとか生き残った2世が、日本政府に対して壮大な復讐を計画する。外務省ビルへの乱射と元凶となった関係者の誘拐。最終的には首相の謝罪を引き出し目的は達する。実行犯の脳天気で憎めない男と、女性記者の濃厚な恋愛を軸に、犯人側/マスコミ/警察側と多層的に進行はノンストップで描かれるが、もちろん犯人側を応援する視点に読者を導く。読み応えのある秀作。重いテーマをこなしたハードボイルド。A評価。

ワイルド・ソウル〈上〉 (幻冬舎文庫)

ワイルド・ソウル〈上〉 (幻冬舎文庫)

ワイルド・ソウル〈下〉 (幻冬舎文庫)

ワイルド・ソウル〈下〉 (幻冬舎文庫)