ボーダー

日本の難民、移民政策という重いテーマに正面から向き合った渾身のノンフィクション。難民条約に加入しながら、その受け入れ数は先進国の中で圧倒的に少なく国際的な非難を浴びている。さらに悪名高い「入管」問題。劣悪な環境で長期拘束し、身体、精神を病む人々が相次いでいる。一方移民も認めず、労働力確保のために技能研修生制度で3年の期間限定。著者は送り元のフィリピン、ベトナムを取材。貧困層には夢を与えているのも事実。最終章は鎌倉のボランティア施設に微かな希望を見出す。将来の人口減少、経済力の低下を見据えると、早急に純血主義をすて国家のグランドビジョンを見直すべき。7年の歳月をかけて世に問う力作。圧倒される内容。