著者は元外交官で、前文化庁長官。ユネスコ特命大使として、富士山の世界遺産登録に関わる。交渉の舞台裏を初めて記す。困難と思われた三保の松原を一体として登録できたことはロビー活動の成果と報道されがちだが、日頃の地道なネットワーク作りの効果が大きい。欧米の物質、科学万能主義に対し、ストーリー性から三保の松原を認めさせた。後半は外交論でやや硬いが言わんとすることは、特効薬はなく日本文化の特長を誠実に根気よく主張することで世界平和の理想に貢献する。好著である。
- 作者: 近藤誠一
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 2014/06/13
- メディア: 単行本
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