FUJISAN世界遺産への道

著者は元外交官で、前文化庁長官。ユネスコ特命大使として、富士山の世界遺産登録に関わる。交渉の舞台裏を初めて記す。困難と思われた三保の松原を一体として登録できたことはロビー活動の成果と報道されがちだが、日頃の地道なネットワーク作りの効果が大きい。欧米の物質、科学万能主義に対し、ストーリー性から三保の松原を認めさせた。後半は外交論でやや硬いが言わんとすることは、特効薬はなく日本文化の特長を誠実に根気よく主張することで世界平和の理想に貢献する。好著である。

  • 世界遺産登録は全会一致が原則
  • 要請でなく説得。政治力を前面に出さない
  • 石見銀山は緑の鉱山としてコンセプトで逆転登録
  • 平泉は一旦退いてコンセプトを変えて捲土重来

FUJISAN 世界遺産への道

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