サラの柔らかな香車

将棋女流名人の前に現れた青い目の挑戦者。ブラジルで育った日系人だが複雑な家庭環境で言語障害を持つ。彼女を導いたのはかって奨励会で挫折を味わった男。女流名人戦を軸に両者のこれまでの人生が鮮烈に描かれる。早熟な天才たちが集う将棋界の厳しさ。このゲームの持つ奥深さに対する憎悪に近い畏怖。よく構成されていて一気に読ませて頂いた。著者自身も奨励会の出身。将棋がわからなくとも楽しめるエンタメ性も十分。小説すばる新人賞受賞作。

サラの柔らかな香車

サラの柔らかな香車