印象派以降の代表的な画家、彫刻家を取り上げ、作品に反映された芸術家の生身の恋愛遍歴を語る。種本はあるのだが日本では意外と知られていない事実に驚く。名画にはかならず実在のモデルがいたはずで、画家の鋭い観察眼が女性との関係をもたらす可能性は低くない。モディィアーニから始まり、ピカソ、ムンク、クロデール(ダンテ)と巡り、一見各人関係なさそうで最後にモディの戻るという全体として見事な構成。これはアタリでしょう。周辺読んでみたい。
- モディアーニの独特の画風はもともと後追い自殺をした妻ジャンヌのもの。
- ピカソは現代の王として女性遍歴を繰り返す。魅力を失ったミュゼは取り換える権利があるかのよう。孫は不幸な死をとげる。
- モネは死に行く妻の顔をカンバスにとどめた。画家の業。
- クロデールはロダンのモデルを務めるが、作品に官能性をもたらした。別離の後は狂気にさいなまれる。
以下観るべき作品
- ロセッティ 「ベアータベアトリクス」 テートギャラリー
- モネ 「死の床のカミーユモネ」 オルセー
- ムンク 「マドンナ」 オスロ国立美術館
- クローデール「サクンタラ」 ロダン美術館(パリ)
- ジェローム 「ピュグマリオンとガラテア」メトロポリタン
- 作者: 西岡文彦
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
- 発売日: 2011/05/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 1人 クリック: 3回
- この商品を含むブログ (8件) を見る