日本の国宝、最初はこんな色だった。

著者は古美術のデジタル復元の第一人者。東大寺大仏殿をはじめ日本美術を初期の姿を仮想空間によみがえらせる。史実データと考証をベースにしているが、推測による部分も残るのは事実。IT技術を駆使して得られた世界は見る者を圧倒する。著者の真骨頂は単なる再生にとどまらず日本美術の底流にやどる精神に言及する部分にある。いわく観る側の「参加する視線」。圧巻は原点となった「醍醐の花見」の屏風の再現。欠落した２扇を見事に保管する。大あたりの新書。