丸腰国家

中米の小国であるコスタリカが、警察力以上の軍隊を持たず、非武装中立の平和国家であることは意外と知られていない。留学経験がありコスタリカ研究家を自認する著者がその実像を紹介する。アメリカの覇権主義のなかで理想というより、現実的な選択として生まれた軍隊の放棄だが、すでに還暦を迎え、対外アピール力を有するようになった。継続的な国民の努力に経緯。一方社会面では貧富の格差や汚職の横行など厳しい現実がある。日本人の知らない現実がここにある。好著。

  • 1983年「積極的衛生非武装中立宣言」積極的とは紛争の仲介を行うこと。
  • 武装を外交面で「防衛力」とする逆手の発想
  • 「坊さんは結婚できる、だがしてはならない。」軍備に対する国民感情を代弁。
  • 平和には点と線がある。刹那の状態と継続的な努力。コスタリカでは後者が重視される。平和とは終わり無き闘いである。
  • コスタリカは経済面では「発展途上国」だが、社会面では「先進国」扱いされる。

丸腰国家―軍隊を放棄したコスタリカの平和戦略― (扶桑社新書)

丸腰国家―軍隊を放棄したコスタリカの平和戦略― (扶桑社新書)